診療科別の医師の仕事内容
増加する医師の数
来院した患者さんの悩みや症状をヒアリングし、診断・治療を行う医師。心身の健康づくりをお手伝いでき、社会貢献度が高くやりがいある職業の1つです。また、社会的な地位や給与も高いことから、医師免許を取得する人は年々増加の推移をたどっています。
そんな医師の活躍場所として代表的なのは病院です。病院の中でも、大学病院や総合病院のように規模が大きい場合、科目は細かく分かれています。大きな病院であればあるほど、標榜している科目数は多いものです。
そして、科目が違えば行う仕事も違うもの。一般的な科目から変わり種の職場まで、さまざまな分野の仕事内容についてご紹介します。
内科
内科は、医師が最も多く従事する科目です。内臓疾患に対し、主に薬を用いて治療のためのアプローチを実施。一口に内科といっても、呼吸器内科や循環器内科、腎臓内科、神経内科など、さまざまな診療科に細分化されています。
基本的に手術は行いませんが、カテーテル治療など、一部外科手術に携わることも。治療だけにとどまらず、患者さまの生活や仕事などのバックグラウンドなども含め、疾患の再発防止や健康維持のための予防医療についてのアドバイスも行います。
外科
内科と同様に、外科も臓器により診療科が細分化されています。消化器外科や心臓血管外科、小児外科、形成外科、脳神経外科、乳腺外科など、種類はさまざまです。
共通していえるのは、手術をメインに治療を行うこと。薬での治療が期待できない臓器の疾患に対し、レーザーやメスなどを使用し、取り除いたり切除したりします。
手術の内容によっては、オペ時間が10時間以上になる場合もあり、体力的・精神的な強さが求められる分野です。
整形外科
心臓や脳などの臓器の治療を行う外科医に対し、整形外科医は、筋肉や骨、靭帯といった運動器を専門に治療を行います。
治療は、手術と薬物療法、どちらも行うのが特徴です。また、理学療法士や作業療法士などのセラピストと連携を取りながら、リハビリテーションや運動療法を行うこともあります。
小児科
全身の病気について幅広い知識を求められるのが小児科です。臓器や運動器ごとに細かく分類されている診療科目と違い、小児科医はすべての病気を治療する必要があります。
また、乳幼児健診や予防接種のほか、RSウイルス感染症や水疱瘡、手足口病などの小児特有の疾患に対しても知識が必要です。
一般的な患者層は、乳児から15歳までで、高校生から内科に切り替える患者がほとんど。しかし、小児科に年齢のしばりはないため、成人過ぎても受診は可能です。
症状を伝えられる大人と違い、子どもはうまく伝えられないことが多いため、表情から汲み取ったり親から聞き出したりと、洞察力やコミュニケーション能力の高さが問われます。
産婦人科
新たな生命の誕生や、すべての女性の生涯の健康支援に関わることができる仕事です。大きなやりがいを感じられる科目といえます。
しかし、分娩を取り扱う産科では、いつどのようなタイミングでお産が始まるか予測できないため、オンコールや当直など、職場によっては激務を強いられることもあるようです。
その分、産婦人科医は、全診療科の中でもトップクラスの年収を誇ります。やりがいや大変さを感じる分、高い水準の給与を得られる科目です。
精神科
ストレス社会の今、精神科を受診する患者さんは増加傾向にあります。今後もまずます需要が高まる可能性のある科目の1つです。
うつ病や統合失調症、依存症、PTSDなどに対し、薬やカウンセリングなどで治療を行います。発熱や骨折など、目に見える病気とは異なり、目に見えない心の病気を取り扱う科目です。
大学病院やクリニックといった医療機関のほか、企業の産業医としてもニーズがあります。そのほかにも、行政・福祉・教育など幅広い分野での活躍が可能です。
眼科
アレルギーやドライアイ、糖尿病網膜症、緑内障などの眼の疾患に対し、手術や薬で治療を行います。また、白内障などの高齢者特有の疾患のほか、斜視や弱視など、子ども特有の疾患にもアプローチ。広い年代の患者さんに携わることができます。
ほとんどの情報を眼から得るため、視覚は五感の中も大切な感覚の1つです。生死に直接関わることはないものの、重要な役割を担う科目だといえます。患者さんの重症度によって、即刻手術を行うこともありますが、急患はほとんどありません。
基本的にオンコールなどは発生しないため、ワークライフバランスを大切にしやすい分野だといえるでしょう。
美容皮膚科
シミやくすみ、にきび、脱毛などの悩みに対し、レーザーや注射、クリームなどを用い治療を行います。じんましんやアトピー、帯状疱疹など、医学的な治療が必要な一般皮膚科と違い、美容皮膚科は見た目の治療がメインです。
ケミカルピーリングやフォトフェイシャルなど、侵襲度が低い施術に関しては看護師が行うことが多く、レーザーや注射、ほくろ取りなどの侵襲度が高い治療に関しては医師が行います。
美容皮膚科は、医療保険が適応外である自由診療であり、患者さんの期待値は高めであることがほとんど。事前の丁寧な説明や確かな技術力が求められるでしょう。
スポーツドクター
スポーツによる外傷の治療や予防、健康管理などを担います。医学的な視点から、スポーツ活動を支援する仕事です。特定のスポーツチームにチームドクターとして所属したり、競技会の医事運営に参加したり、スポーツを楽しむ一般の人のサポートを行ったりします。
スポーツドクターには3種類の資格があり、資格により業務はさまざまです。
- 日本医師会認定スポーツ医
成人病の予防や健康スポーツに対するアドバイスを行います。 - 日本体育協会認定スポーツドクター
勤務医として、スポーツで生じたケガなどに対する治療を行います。 - 日本整形外科学会認定スポーツドクター
競技場や各種大会等に出向き、選手のケガへの治療やドーピング検査などを行います。
フライトドクター
医療機器を装備するドクターヘリに、フライトナースと一緒に乗り込み、重症患者のいる現地、またはヘリの中で治療を行うのがフライトドクターの役割です。
フライトドクターに公的な免許や資格はなく、救急医の試験に合格すれば、フライトドクターとして活躍することが可能です。
ドクターヘリの出動要請がない時間帯は、所属している救急科にて搬送されてくる救急患者の診断・治療を行います。
メディカルドクター
製薬会社で働く医師のことをメディカルドクターと呼びます。新薬の開発に関わる治験の実施やデータの回収、解析データのまとめなどを医師の観点から実施。
また、販売後の薬の安全性や有効性のチェック、医療機関への営業なども行います。
3年~5年以上の臨床経験があれば目指せる仕事です。外資系の企業の場合は、英語スキルがあれば強みになるでしょう。
老健医局
介護老人保健施設で働く医師のことを指します。介護老人保健施設とは、医療ケアやリハビリなどを必要とする高齢者に対し、必要なサービスを提供する施設です。
施設では、入所者100名あたり医師を1名配置するよう義務付けられています。
主な仕事内容は、入所者の健康管理です。悩みや症状に対し診断・治療を行います。
施設によって異なりますが、夜勤がないほか残業もほとんどありません。土日祝日は休日に設定しているところが多いようです。
比較的ゆったりとした勤務スタイルで、ワークライフバランスを大切にしやすいでしょう。
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